【飲食店オーナー様向け】店舗経営を守る“キャッシュレス対応”の方法

国内キャッシュレス決済の比率はすでに4割

 現在、日本国内のキャッシュレス決済の比率は、39.3%(126.7兆円)に達していると経済産業省から発表がありました。同省は2025年6月までに、キャッシュレス決済比率を4割程度にすることを目標にしていますので、いよいよ現実になってきています。
※クレジットカードが83.5%(105.7兆円)、デビットカードが2.9%(3.7兆円)、電子マネーが5.1%(6.4兆円)、コード決済が8.6%(10.9兆円)

もちろん、商品・サービスの単価や、実際にお店があるエリアや周りの商業施設などの状況によって、それぞれの決済手段の割合はまったく変わってきます。例えば、JRや私鉄など駅周辺に立地しているお店では、交通系電子マネー(Suica、PASMOなど)を使いたいと思うお客様は多いでしょう。

以前CMでも、キャッシュレス決済が使えないとわかると「じゃあ、いいですー」とお客様が帰ってしまうというシーンがありましたが、「キャッシュレス決済が使えない」お店は、想像以上にビジネスの機会損失をしている可能性が高まってきています。

つまり、店舗でキャッシュレス決済を導入するかしないかの判断は、店舗経営にとって重要なポイントなのです。

固定費と手数料をきちんと考慮する

 キャッシュレス化するためには、決済端末、決済サービスを導入する必要があります。各社様々なサービスが展開されていますが、店舗経営において事前に考えておかなければならないのは、決済サービスの固定費と手数料です。

サービスによっては、固定費は無料などというものもありますが、手数料は必ず支払う必要があり、毎月の店舗の売上から差し引かれ利益に直接影響します。以前、PayPayが中小店舗向けに手数料無料を大々的に広告宣伝をして、PayPay加盟店を一気に増やしていきましたが、2021年10月から手数料も有料化になっています。

キャッシュレス対応したのに、「手数料は思ったより高かった・・・」「思ったより利益を圧迫して赤字になっている・・・」とならないように、店舗のキャッシュレス対応をする場合は、事前に導入するために必要なサービスの固定費、手数料を正確に把握していくことが大切です。

キャッシュレス化する前に考えるべき3つのポイント

 さあ、店舗に決済端末、決済サービスを導入する!と決めた際に、あらかじめ考えておかなければならない3つのポイントがあります。

1つ目は、今世の中でどのような決済端末、決済サービスがあるのか正確に情報収集することです。いわゆる決済代行会社やカード会社が日々飛び込みも含めて営業に来ます。キャッシュレスの業界は、利害関係者が多くシステムも複雑で、業界外の方からすると非常にわかりにくい世界です。

だからこそ、焦ってとりあえず縁があった、タイミングが合ったというだけで、どれも同じだろう、、、と安易に決済サービスを導入してはいけません。

2つ目は、先ほども書いた「決済サービスの固定費、手数料」を考慮した商品、サービスの価格にするということです。最初は無料だったが後から有料になり、思ったより経営が厳しい、という声もあると聞きますが、事前の情報収集と先を見越すことが大切です。

「いやいや、商品、サービスの価格に上乗せしたらよりリーズナブルな競合他店に負けてしまうだろう!」と言われるかもしれません。しかし、ここがオーナー様の腕の見せ所です。つまり、その価格でも買ってもらえるような付加価値、ベネフィットをつけた商品、サービスの設計にするということです。これが3つ目のポイントです。

商機を損失する前に・・・

 最初にお伝えした経済産業省の公表の状況から考えると、今や店舗のキャッシュレス対応を検討しないというオーナー様はいないと思います。消費者も、現金で払うよりキャッシュレス決済のほうが、スマートでスピーディに決済ができて、ポイントなども貯まってお得だという考えが老若男女問わず当たり前になっています。

今後、ますますキャッシュレス決済の比率はどんどん上がっていくことが想像できます。

その重要な判断をするために、
①決済サービスの情報収集
②固定費、手数料を考慮した商品、サービスの価格検討
③その価格でも売れる商品、サービス設計の取り組み

早急に取り組んでいただく必要があります。


この記事を書いた人:行政書士 松本 英之
ステイブル行政書士オフィスでは、これから飲食店を開業するために必要な、飲食店営業許可申請(保健所)や深夜の酒類提供の届出(警察署)の書類作成、代行サービス、キャッシュレス業界の裏と表を知る行政書士が、店舗のキャッシュレス対応のアドバイス、コンサルティングも行っております。